グダログ。

グダグダをログする。

タバコ。

辞めて3年。

もう60まで吸わないと思ってたけど、
最近少し吸い始めてしまった。

家で、ベランダで、一人。

日中はちっとも吸いたいと思わないけど、夜、ふうっとこの不健康な煙が恋しくなってしまう。

なんか悪いことしたい。その程度のこと。

孤独を埋めたい。こんなものでは埋まらないけど、紛れたりはする。

何も上手くいかなくても、このちょっとした悪行は、自分の意思で手軽にできて、一人でする分には誰にも迷惑をかけないし、何より、法は犯さない。

国がいいって言ってる、その範囲内の、甘ったれた反抗。

あぁ、たまんない。

くらくらする。

オイシイ。

存在理由

学校から帰り、制服を着たままだらりとリビングのソファに一人、座っていた。見るともなく着けていたテレビから、再放送のドラマが流れてる。セリーヌディオンの曲が主題歌の、不倫がテーマの物語。もっと面白いのやればいいのにと思いつつも、他にすることもないのでただぼうっと受け流す。退屈な毎日の、思い返す価値もない1日のはずだった。


突如電話が鳴る。母だった。泣いていた。どう伝えられたのかは覚えていないが、その電話口で私が知ったのは、父が死んだということだった。


そこから先の記憶はあまりない。泣いたのか、泣いてないのか、それもよく覚えていない。その後私は何故か叔父と一緒に、新幹線に乗っていた。単身赴任中の父の部屋に到着したのは深夜。でもそこから先の記憶もまた、あまりない。


次に記憶が在るのは、家に戻ってからだ。私は1階にいた。沢山の大人達が家の中を忙しそうに動き回っていた。空っぽになった父の亡骸を、正しく葬る準備をしているようだった。


母は寝室に籠ったまま出て来なかった。恐る恐る足を踏み入れると、ベットにうずくまって肩で息をしている。母もまた、空っぽだった。背中をさすっても、私に気付かない。さすればさするほど母の存在が遠のいていく。この人も突然消えてしまうのではないかと、その恐怖に声も出なかった。


父は自らの腹部を包丁で刺して、1人で逝ってしまった。今にして思えば、私がどうしてそう思っているのかわからない。私が部屋に着いた時には父の散らかした何もかもは綺麗に片付けられていて、私が対峙したのはさらさらと妙に清潔な死体だけだった。傷口を見たわけでも、誰かに告げられた覚えもない。でもその話題に触れるのが怖くて、誰かに確かめることはこの20年一度も出来ていない。死因を知ったところで結果は変わらないのだから、どうでもいいとも思っている。


幸せな家族のはずだった。男勝りで優しい母と、ワガママだけど家族想いの父。どこにでもある平凡な、笑顔の絶えない家庭。何がどうしてこんなことになったのか、今でもよくわからない。


中学2年だった私には、父の苦しみはわからなかった。裏切られた、棄てられたという気持ちだけが、シミのように胸のあたりに張り付いた。


でも今なら少しだけわかる気がする。大人になったからって、人間は強くはならない。父が抱えていたものが何かは結局わからないが、その何かは、私にもいつでも襲い得るということが、今の私には厭と言う程わかってしまう。


大人になってから聞かされたことがある。父は亡くなる一週間前、母の実家に行っていた。昼過ぎにふらりと現れて、祖母の作ったご飯を美味しそうに平らげ、しばらく眠って帰ったそうだ。


何を思っていたんだろう。

何を抱えていたんだろう。


その瞬間自分は呑気に何をしていたんだと考えると、たまらない気持ちになる。


私という娘は、父の希望にはなれなかった。父の生きる理由にはなれなかった。

なんてちっぽけで、くだらない存在。


でもそんなくだらない私を、唯一の生存理由にして生きてくれたのが母だった。ボロボロになっても生き続けて、朽ち果てそうになっても何度も思い直して、泣きながら守ってくれた。


今の私の生存理由も、母しかないかもしれない。ここまでして守ってもらった命を投げ出すわけにはいかないと、それだけが私をここに繋ぎ止めている。